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「マンハイム・オペラの魔法」フィッシャーさん、マンハイムオペラにシェフ・デビュー
バロックオペラ、モンテヴェルディの「タンクレディとクロリンダの戦い」はタンクレディ、クロリンダと、ナレーター役のテストの三人により歌われます。フィリップ・ヒンメルマンの演出は、ほとんど舞台装置を使わないシンブルなもので、広い舞台の左右に位置した椅子に座って、タンクレディとクロリンダが歌うという、不思議な幕開けでした。チェンバロを含めたアンサンブルは、ピットからではなく、舞台の中央で演奏しました。 休憩の後は、フィッシャーさんのお得意のバルトークの「青髭公の城」です。300年を経ながらも、男女の愛と葛藤をテーマにした二つの作品は、オペラの公演としてはとても効果的でした。「タンクレディとクロリンダ」同様、ユディットと青髭公が舞台の左右の椅子に座って歌い出すなど、整合性を考慮した演出で、前半同様抽象的な舞台の中央には、アンサンブルに代わって7つの扉が置かれていました。ユディットが扉を開けるにしたがって、舞台の床の傾斜が増し、最後には垂直に立ちはだかる壁になってしまうなど、とてもドラマティックな演出でした。 歌手の中でもとりわけ、青髭公のミハーイ・ミハイロフは説得力のある低音で、観客を魅了しました。また、物語に登場する宝石の間や秘密の花園、広大な領地などの視覚的な場面を、特別な舞台装置無し、すべて音楽のみにより表現したフィッシャーさん指揮のマンハイム国立劇場オーケストラを、聴衆は大喝采で称えました。地元の新聞「マンハイマー・モルゲン」紙は、この公演について、「マンハイマー・オペラブンダー」(マンハイム・オペラの魔法)という表現でフィッシャーさんの率いるマンハイム国立劇場を賞賛し、今後の活躍に期待を示しました。 シェフ・デビュー公演後、10月3日には、フィッシャーさんは、ハイドンのオラトリオ「天地創造」でも好評を博しました。また、オペラ・オーケストラが独立に企画するコンサートでも、マーラーの交響曲第7番を好演するなど、わずか数週間で、マンハイムの人々を引き付ける大活躍でした。 コンサート・レポートの先頭に戻る
タングルウッドでボストン響と共演フィッシャーさんのアメリカのオーケストラ客演といえば、最近はロサンジェルス・フィルハーモニックがありますが、昨年の夏に十数年ぶりにタングルウッドでボストン交響楽団にも客演しました。当初予定されていた指揮者ベルナルト・ハイティングのキャンセルにともない、急遽依頼されたフィッシャーさんは、8月18日、マサチューセッツ州西部の避暑地、レノックスでの野外コンサートに、1985年以来15年ぶりに登場しました。 フィッシャーさんのコンサートは、コダーイの「ガランタ舞曲」でスタートしました。5月にはロサンジェルス・フィルともこの曲を共演していますが、ロスフィル同様の高度なテクニックに加え、暖かみのある弦の響きの素晴らしい演奏でした。次は、ソリストに、ジャン−イブ・ティボーを迎えたリストのピアノ協奏曲第一番です。長身のピアニスト・ティボーの奏でるパワフルなソロにも負けず劣らず、フィッシャーさん率いるボストン響の活躍で、華やかな演奏でした。 後半はチャイコフスキーの交響曲第4番です。これはオーケストラ側の希望により、ハイティングのプログラムー残したもので、古典派が中心のフィッシャーさんのレパートリーではありません。しかしながら、楽しい第三楽章のピッチカートや、金管の活躍するパワフルな第四楽章など、素晴らしい名演でした。ファンとしては、チャイコフスキーも時々はレパートリーに入れて欲しいと思いました。 コンサート・レポートの先頭に戻る
大好評のオペラ「予期せぬ遭遇」
あらすじ:バルソラの王子アリは、乱暴な弟に王位を奪われ、ペルシャに亡命しました。ペルシャの王女レツィアと恋に落ち、幸せに暮らしていたアリですが、ペルシャ王がレツィアに他の人との結婚を命じたため、彼女とともに駆け落ちします。ところが、彼らの乗った船が海賊に襲われ、別れ別れになってしまいました。2年間探しつづけたアリは、ほとんど絶望して、カイロにたどり着きます。そこにはスルタンに売られたレツィアがいました。 第一幕:アリの従者オスミンがカイロを歩いていると、物乞いカランドロが訳のわからない言葉で話し掛けます。オスミンが一文無しなのがわかると、実は金や高価な品物をため込んでいるカランドロは、オスミンを仲間に誘います。一方、スルタンの後宮に住むリツィアは、窓からアリを見かけ喜びます。今でも変わらぬ愛を確かめるため、侍女のバルキスに、アリを近くの家に連れてくるように命じます。 第二幕:さらに美しい侍女ダルダーネが現れ、アリの愛を求めます。アリが心に決めた人がいると拒むと、彼女は笑って彼女自身も主人の使者にすぎないと説明します。そこにリツィアが現れ、恋人たちは再会を喜びます。リツィアは過去の冒険談を語り、スルタンから逃げる決意を告げます。逃走の手配を済ませ、アリとリツィアが最後の食事をしていると、リツィアの逃走の知らせを聞いたスルタンが、予定より早く狩から戻ってくるという知らせが入ります。パニック状態のアリら一行は、何とかカランドロの隠れ家に逃げ込みます。 第三幕:ほっとしたのもつかの間、スルタンの軍隊に囲まれた一行はオスミンの機転で、フランスの画家とモデルに扮装しますが、見破られてつかまってしまいます。死刑の宣告にアリとレツィアは不幸を悲しみながらも、せめて共に死ねるよう願います。それを見た隊長がスルタンの手紙を渡すと、そこには、変わらぬ愛を示した恋人たちを許すことが記されていました。実は密告者はカランドロで、その不実により死刑に処すとも書かれていました。 若手中心の出演者は、アリにフランス人テノール、ローレント・コール、オスミンに、ボストン交響楽団とも共演したアメリカ人テノール、スティーブン・コール、レツィアにモスクワで活躍しているエテリ・ラモリス、ダルダーネにウズベキスタン出身のルイザ・イスラム・アリ・ザーデ、バルキスには地元オーストリア出身のアンナ・マリア・パマー、カランドロにはイギリス人イヴァン・ルドローと、国際色豊かな顔ぶれでした。とりわけ、三人のソプラノの歌唱力が素晴らしく、第一幕の三重唱"Mi sembra un sogno"では、カデンツァでは聴き応えのある掛け合いが楽しめました。それぞれのアリアも美しく、全体的にソプラノの活躍するオペラという印象でした。 イギリス人、ローレンス・デールの舞台は、前半は白一色で地味でしたが、後半は照明やカラフルな背景を用い、華やかに盛り上げました。特に第二幕のリツィアのアリア"Or vicina a te, mio cuore"では、青い幕と照明で美しい海を表わし、でヨットのデッキで再会を喜ぶ恋人たちを演出しました。 オペラ指揮者、フィッシャーさんと、ハイドンフィルは、早めのテンポの序曲に始まり、時にダイナミックに、時にユーモラスに伴奏し、オペラの好評の一因となりました。今年の作品では、フィッシャーさんのお嬢さんのゴルダさんや、彼女の大学の友人、リチャード・ルイスさんが照明や翻訳として製作に参加しました。彼女は来年の2月にエジンバラ大学製作のオペラ「こうもり」で、製作監督としてデビューする予定です。 コンサート・レポートの先頭に戻る
マチネー公演―名残を惜しむ「告別」交響曲楽しいオペラや室内楽、ハイドンに関するシンポジウムなど、盛りだくさんのフェスティバルの最後は、ハイドンフィルによる、恒例のマチネー公演です。プログラムは前半がハイドンの交響曲第38番「エコー」と二重協奏曲、後半が今年のテーマ、「太鼓とトランペット」にちなんで、交響曲94番「驚愕」でした。 コンサート・レポートの先頭に戻る
ウイーン国立歌劇場「フィデリオ」
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LAフィル、ウイーンスタイルのハイドンを好演
コンサートは5月19日、20日、21日の3日間、LAフィルの本拠地、ドロシー・チャンドラー・ハビリオンで行われました。フィッシャーさんのLAフィルへの客演は今回が三度目で、プログラムはお得意のハイドンとR.シュトラウス、コダーイの組み合わせです。 コンサートはまず、ハイドンのシンフォニア・コンチェルタンテで幕を開けました。4人のソリストは、LAフィルの副首席クラスが担当しましたが、ソロには不慣れで、かなり緊張していました。そのためか、若干アンサンブルに乱れがあり、必ずしも完璧な演奏ではありませんでしたが、普段は伴奏に徹するオーケストラ・メンバーの桧舞台ということで、地元のファンも暖かい拍手で演奏を称えました。ソリストも大喜びで、チェロのロットミュラーなど、ネクタイ、胸ポケットのハンカチ、さらには靴下まで真紅で統一するなど、お洒落をしていました。
プログラムの最後はコダーイの「ガランタ舞曲」で盛り上がりました。ハンガリーのチャールダーシュのリズムを取り入れるなど、民族的なこの作品は、ハンガリー人フィッシャーさんの十八番で、LAフィルの名手の好演もあり、熱狂的な大喝采で終わりました。 今回の演奏会には、ロサンジェルス在住のファンクラブ会員、リック・ゴードンさんが聴きにきており、終演後の楽屋はささやかな、ファンの集いになりました。また、滞在中のホテルでは、学生時代からの知り合いの内田光子や、LAオペラの芸術監督、プラシド・ドミンゴに遭遇するなど、フィッシャーさんにとっても、短いながら有意義な数日でした。 コンサート・レポートの先頭に戻る
チェチリア・バルトリのお得意、チェネレントラ
チューリッヒ・オペラの「チェネレントラ」は、チェザレ・リエヴィの演出で、ニューヨークのメトロボリタン・オペラもリメイクしています。現代的な演出のシンデレラ・ストーリーは、歌っていないキャラクターの、細かい演技がとてもユーモラスで、巨大なメトよりも、ステージも客席も小さいチューリッヒに適しています。26日の配役は、バルトリ以外に、王子ドン・ラミーロにロベルト・サッカ、従者ダンディーニにオリバー・ヴィルドマー、ドン・マグニフィコにカルロス・シャウソン、意地悪な姉にはエレーナ・モシクとイレーネ・フライドリ、王子の教師アリドロにはラスロー・ポルガーという顔ぶれでした。 圧巻はバルトリのアリア"Non piu mesta accanto al fuoco"で、高度な歌唱技術を駆使して、フィナーレを盛り上げました。このアリアは、ハイドンフィルとのコンサートのアンコールでも歌ったように、チェチリア・バルトリの代表曲ですが、彼女の堂々としたパフォーマンスに、満員の聴衆は大喝采で応えていました。 2000/2001シーズンには、フィッシャーさんとチェチリア・バルトリは、名演出家ジャン・ピエール・ポネルの「チェネレントラ」をバイエルン国立歌劇場で共演します。 コンサート・レポートの先頭に戻る
フェスティバル恒例の楽しいマチネー
来年のフェスティバルは9月7日〜17日で、オペラ"L'incontro improvviso"等が予定されています。また、最終日のマチネーは、NHKによる日本への生中継の計画があります。 コンサート・レポートの先頭に戻る
客演指揮者による2つのコンサート過去12年に客演指揮者を招聘したことは、殆ど無いハイドンフィルですが、今回ハイドンターゲとしては初めて、リチャード・ヒッコックスとトレヴァー・ピノックという、二人の英国人指揮者を招きました。
9月15日の本番は、リハーサルを上回る素晴らしい出来でした。合唱指揮の経験も豊富なヒッコックスは、コーラスやソリストの扱いにも手慣れていて、オーケストラとの音量のバランスも適当でした。フィッシャーさんが指揮した場合に比べると、やはり緊張した演奏であったことは否定できませんが、大成功の内にコンサートは終了しました。
ただ、ハイドンの交響曲102番とアリア、モーツアルトのプラハというプログラムには、少々問題がありました。特にプラハは3ヶ月前にフィッシャーさんとハイドンザールで演奏しており、オーケストラもよく憶えています。プロの音楽家でも、同じ作品を全く異なるスタイルで演奏するのは、容易ではありません。特に客演指揮者に慣れないハイドンフィルは、本番のコンサートでも、ピノックの早い最終楽章に苦労していました。 フィッシャーさんとの親密な関係は、ハイドンフィルにとって、とても素晴らしいものではありますが、その反面、指揮者に頼りすぎる傾向も無いとは言えません。ピノックはその問題点を指摘し、新たな課題をオーケストラに提示するという点で、素晴らしい客演指揮者でした。 コンサート・レポートの先頭に戻る
オペラ「アルミーダ」94年以来、フェスティバルは毎年オペラを上演していますが、今年の演目は、ハイドンのエステルハーザでの最後のオペラ、「アルミーダ」です。1783年に作曲されたオペラ・セリアは三幕から構成され、中世のパレスチナでが舞台とした、サラセン王イドレノの姪アルミーダと、十字軍の騎士リナルドの悲恋物語です。アルミーダの美貌と魔法の力により、一度は恋におちたリナルドですが、友人のウバルドとクロタルコの説得を受け、苦悩の果てにアルミーダと分かれて再び戦場に戻ります。妖精や地獄の魔物が住む魔法の森に赴き、アルミーダやエジプトのスルタンの娘、ツェルミーナの守る山桃の木を自ら切り倒しすと、魔法の森は消滅してしまいます。勝利を称える勇壮なフィナーレが鳴り響く中、失意のアルミーダはリナルドを振り返ることもなく、復讐を誓って十字軍を悲惨な戦いに導いていきます。 歌手陣の中で、特に活躍したのは、リナルド役のヨハネス・クムです。豊かな声量と高音の伸びで、アルミーダへの愛と、十字軍の兵士としての忠誠心に苦悩する姿を歌い上げ、高い将来性を証明しました。また、登場人物が二人のソプラノと三人のテナーと、高音に偏った中で、イドレノを担当したオランダの名バス、ジュリアン・ハルトマンの存在感が、舞台を一層盛り上げました。 演出は昨年の「無人島」で好評を博したマイケル・シルハンで、カーテンを利用したシンプルな舞台装置と照明を有効に活用し、ある時はイドレノの居城、またある時はアルミーダの魔法の森を出現させました。ただ、テノールの十字軍兵士三人が、現代の軍服を着ているのは不自然な印象でしたし、三人を混同する事にもつながり、多少の不評もありました。 フィッシャーさん指揮のハイドンフィルハーモニーは、いつも通りにダイナミックな演奏を聴かせ、大喝采を誘いました。とりわけ、レチタチーブの伴奏するチェロ首席のレジョー・ペルトリーニには、音楽祭常連からの賞賛が寄せられていました。 コンサート・レポートの先頭に戻る
夏のモーストリー・モーツアルト・フェスティバル夏の休暇の直後、フィッシャーさんはアメリカに渡り、暑い夏の真っ盛りにニューヨークで開かれる、モーストリー・モーツアルト・フェスティバルに出演しました。今回は87年以来4回目の登場で、8月3日と4日の二回、エイヴァリー・フィッシャー・ホールを沸かせました。 プログラムはチマローザの「秘密の結婚」序曲で幕を開けました。この曲はあまり知られてはいませんが、軽快なテンポのダイナミックな演奏で、聴衆の注意を引き付けました。続いては、ドイツ人ピアニスト、ラルス・ヴォグトをソロに迎えた、モーツアルトのピアノ協奏曲第9番です。1990年のリーズ・コンクール入賞のヴォグトは、特にゆっくりとした第二楽章が素晴らしく、モーツアルトの美しいメロディーを十分に堪能させました。 休憩を挿んだ後半は、ルース・アン・スウェンソンが、"Exsultate,
juilate"でモーストリー・モーツアルト・フェスティバルに初登場しました。彼女は現在アメリカでもトップレペルのコロラトゥーラ・ソプラノで、フィッシャーさんとは96年のメトロポリタンオペラ「セビリアの理髪師」で共演しています。張りのある美しい高音が持ち味のスウェンソンは、とりわけ自由に歌うカデンツァが素晴らしく、大喝采を誘いました。 演奏会のメインプログラムは、モーツアルトの交響曲第41番「ジュピター」です。この作品はフィッシャーさんにとっても重要なレパートリーで、過去にもハイドンフィルをはじめ、数多くのオーケストラを指揮しています。楽譜には無いアクセントやクレッシェンドなどを盛り込んだダイナミックな解釈に、MMFオーケストラも触発され、熱演を繰り広げました。 前号で紹介した西海岸のハリウッドボウルに続いての、東海岸のメジャー音楽祭への登場ということで、アメリカ在住のファンには大喜びの夏のフェスティバルでした。 コンサート・レポートの先頭に戻る
マグニフィセント!モーツアルト・プログラム7月8日のコンサートは、フィッシャーさんの得意のモーツアルトです。ト短調の2曲の交響曲とト長調のヴァイオリン協奏曲の有名曲の組み合わせは、モーツアルトがアメリカ人に大人気でした。一万8千人収容のハリウッド・ボウルも八割近い入りで、ボックス席では開演前からパーティーを楽しむ人で満員でした。 パーカッション無しのモーツアルト編成のオーケストラによる、恒例のアメリカ国歌の演奏の後、最初は交響曲第25番です。この曲の第一楽章は、映画「アマデウス」のテーマにも使われており、ハリウッドではおなじみです。短調の悲しいメロディーが始まると、ワインを飲んで上機嫌だった聴衆も真剣に聞き入りました 次はロシア人ヴァイオリニスト、ジュリアン・ラフリンをソリストに迎えたヴァイオリン協奏曲第3番です。ラフリンはウイーンを始めヨーロッパで活躍中の若手です。胸ポケットに赤いハンカチを忍ばせ、お洒落なコステュームで登場したラフリンは、ヴィルトゾーオのテクニックを駆使し、上品なモーツアルトを演奏しました。ただどちらかというと、ロシア風のモーツアルトで、フィッシャーさんが目指すウイーン風の軽やかなスタイルとは異なったのが残念です。 後半の交響曲第40番ではちょっとしたアクシデントがありました。休憩の後、ステージに颯爽と登場したフィッシャーさんですが、駐車場の車のアラームが突然鳴り出し、演奏を始める事ができませんでした。公共交通機関の少ないロサンジェルスの、一万人以上が集まる会場ですから、このようなアクシデントは頻繁に起こります。困っているフィッシャーさんの姿をみて、お客さん達が笑い出し、短調の悲しい交響曲の雰囲気が壊れてしまいましたが、待つこと十数秒、アラームも止まり、演奏をはじめることができました。ところが数分後、第二楽章の静かな部分でまたアラームが鳴り出したり、客席の赤ちゃんが声をあげたりと、アクシデントは続きました。そんなトラブルにも関わらず、フィッシャーさんとLAフィルは集中力を失うことなく、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。 コンサート・レポートの先頭に戻る
豪快な演奏のハリウッドボウル、オープニングコンサート7月6日のオープニングコンサートは、コダーイ「ハーリ・ヤノーシュ」、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第一番、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」でした。フィッシャーさんが舞台に登場すると、オーケストラが立ち上がり、小太鼓の連打でアメリカ国歌が始まりました。聴衆も立ち上がり、指揮に合せて歌います。ハンガリー人のフィッシャーさんにとって、初めてのアメリカ国歌は、少しゆっくりしたテンポでしたが、お客さん達は大喜びでした。 一曲目の「ハーリ・ヤーノシュ」は、昨年のコンサートでも演奏していて、オーケストラもフィッシャーさんの手の内をよく理解しています。途中のビオラソロや民族楽器ツィンバロンの音色も美しく、ハンガリーの風景を彷彿とさせました。第5曲「インターメッツォ」があまりにも豪快に終わったため、一部聴衆が勘違いし、拍手とともにスポットライトが動作するハプニングがありましたが、ロサンジェルス在住のハンガリー人達も、大満足のオープニングとなりました。 二曲めのブルッフはサラ・チャンとの初共演です。ピンクの美しいドレスに身を包んだ彼女は、まるで何十年もの経験があるように堂々と演奏し、優れたテクニックを十分に披露しました。実際、彼女がまだ十代というのは信じられません。 休憩の後はメインの「ツァラトゥストラはかく語りき」です。実はフィッシャーさんにとって、今シーズンに取り入れた新しいレパートリーで、ボーンマスに引き続いての演奏です。映画「2001年宇宙の旅」のテーマで有名な冒頭のファンファーレが始まるとハリウッドの聴衆は大喜び、後半もロサンジェルス・フィルの名手の好演で、ヴィルトゾーオ作品の演奏は大成功でした。 コンサート・レポートの先頭に戻る
ロンドンでの「ネルソンミサ」ハイドンターゲ直後の9月23日、フィッシャーさんはロンドンで開かれたチャリティ・コンサートに於いて、アカデミー室内管弦楽団とフィルハーモニア・コーラスを指揮して、「ネルソン・ミサ」と告別交響曲を演奏しました。本来はハイドンフィルが客演する予定だったのですが、資金難のため実現しませんでした。ソプラノのエマ・カークビーとバスのマイケル・ジョージがとりわけ素晴らしい出来の演奏会でした。
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恒例のマチネー、ハイドンターゲ十周年を祝う音楽祭最終日のマチネーは、オペラ "L'incontro improvvisio"序曲で始まりました。オペラ指揮でも有名なフィッシャーさんは、パーカッションを強調し、序曲の本来の役割である、楽しいオペラが始まる雰囲気を十分に演出しました。 かなり軽快なテンポで、チェンバロ無しで演奏された交響曲第10番の後は、休憩を挿んで、リューレンコンツェルトの演奏です。この曲は6人のオーケストラにフルートのハンスゲオルグ・シュマイサー、オーボエのペーテル・シュライバーが加わり、フィッシャーさん自身がチェンバロを弾く室内楽です。通常のオーケストラの演奏とは異なり、ハイドンフィルの別の一面を表わしていました。 最後の豪快な交響曲98番の後、アンコールの交響曲94番の第4楽章終了すると、アイゼンシュタット市長や、フェスティバルのライヒャー総裁らが舞台に上がり、ハイドンターゲの十周年を記念した金のプレートをフィッシャーさんに贈答しました。その後、恒例の告別交響曲のアダージョで最後を飾りました。 ハイドンフィルの他にも、豪華なコンサートが目白押しで、「ハイドン(音楽祭)はモーツアルト(ザルツブルク音楽祭)に優る」と新聞に賞賛されるなど、大成功の音楽祭でした。 コンサート・レポートの先頭に戻る
「天使の歌声」チェチリア・バルトリ、アリアの夕べ今年のハイドンターゲの注目のコンサート、チェチリア・バルトリ、「アリアの夕べ」は、9月19日に開かれました。
ハイドンやモーツアルトを得意とするチェチリア・バルトリは、ハイドンザールの音響にぴったりで、まるで天使の歌声の様な、素晴らしいアリアを聞かせ、聴衆の大喝采を誘いました。 用意させた2曲のアンコール(「フィガロの結婚」ケルビーノのアリア、チェネレントラのアリア)の後も観客の熱狂は収まらず、結局チェネレントラをもう一度演奏することになりました。
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オラトリオ「四季」、5年ぶりの再演
この作品は5年前のハイドンターゲでも取り上げられており、フィッシャーさんのダイナミックな演奏で大成功でした。今回も冒頭の初春を描写する序章から聴衆を引き付け、高い集中力で二時間半を超える演奏時間も忘れるほど、素晴らしい演奏でした。とりわけ、「秋」の中盤の合唱「聞け、この大きなざわめきを」では、バルコニー上や舞台裏に配置したホルン8本が交互に演奏し、立体的で迫力のある演奏に、満員の聴衆は圧倒されました。 今回、「秋」の終盤に登場するトライアングルは、前日に18才になったばかりのフィッシャーさんの長男、アーロンさんが担当し、初の父子共演となりました。ちなみに、タンバリンはフィッシャーさんとオーケストラのご厚意により、筆者が担当させていただきました。 コンサート・レポートの先頭に戻る
ハイドン、オペラ「無人島」今年のハイドンターゲは、9月9日にエディタ・グルベローバのリサイタルで始まりました。当日はフィッシャーさんの49才の誕生日で、「ハッピー・バースデー」の演奏で祝福しました。 翌日はいよいよフィッシャーさんとハイドンフィルが登場する、新制作のオペラ「無人島」の初日です。この作品は1779年12月6日に初演されたもので、四人の登場人物の二部構成の小さなオペラです。 ストーリー:船の難破によりコスタンザは小さな妹シルビアと共に、夫のジェルナンドと離れ離れになり、無人島に流れ着きます。13年後、コスタンザは絶望のあまり死を考え、岩に碑文を刻みます。成長したシルビアは逃げたペットが戻って来たので大喜びです。そこに、ずっと探し続けたジェルナルドとその友人エンリコが上陸します。物心ついてから男性を見たことの無いシルビアは、物陰にかくれて観察しますが、興味津々です。ジェルナルドは、コスタンザの碑文を見つけ、彼女が死んだと思い込み落胆します。碑文が途中で途切れているので、まだ見込みがあると思い、エンリコはさらに探し続けます。そこにシルビアが現れ、島の妖精と早合点したエンリコは、恋に落ちてしまいます。シルビアからコスタンザが生きていることを聞き、エンリコはジェルナルドを呼びに行くきます。島を放浪するジェルナルドは、偶然コスタンザに出会い、四人は大喜びで島を去ります。 マイケル・シルハンの演出は効果的で、短い序曲の間に物語の背景と、船の遭難シーンを表現してしまうなど、説得力のあるものでした。四人の歌手陣は皆健闘しましたが、コスタンザ役のガブリエル・ラインホルツの悲しみに満ちた歌声と、シルビア役のロマナ・ノアックの可愛らしい歌と演技が特に印象に残りました。そして、フィッシャーさん率いるハイドンフィルはソロ、伴奏ともども素晴らしく、オペラの成功に大きく貢献しました。フィナーレではウォルフガング・レディク(ヴァイオリン)、レジョー・ペルトリーニ(チェロ)、イムレ・コバーチュ(フルート)、ヨージェフ・ヴァイダ(ファゴット)の四人が舞台に上がり、ソロを繰り広げるなど、演出と音楽が一体となった素晴らしい公演でした。
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